田中 優(たなか ゆう)
未来バンク事業組合 理事長
1.北極の氷はあと5年で夏場に失われるようになる。
北極海の海氷が2040年の夏にはなくなってしまうだろうと二人の科学者が予測して仲間を驚かしたのは昨年のことだ。
今週、最新の観測データを評価して、NASAの気候学者Jay Zwallyは「この割合でいくと、以前の予測よりもずっと速く、北極海は2012年の夏までにほとんど氷がなくなるかもしれない。」と語った。
その2、インドネシアのバイオディーゼル用油やし生産で、二酸化炭素が莫大に放出されている。世界第三位。
<インドネシア>代替燃料製造で熱帯雨林の破壊進む
12月1日19時8分配信 毎日新聞より
インドネシア・バリ島で気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)が3日、開幕する。アジア最大の熱帯雨林を誇るインドネシアでは、軽油の代替燃料としてバイオディーゼルの需要が伸びる中、原料(パーム油)となるアブラヤシの栽培が急拡大している。だが、大規模農場開発は熱帯雨林の破
壊だけでなく、地中に蓄えられた温室効果ガスの大量放出を招き、逆に環境に大きな負荷を与えている。
【クアラチナク(インドネシア・リアウ州)で井田純】
スマトラ島中部のリアウ州クアラチナク。州都プカンバルから車で約300キロ走り、さらにボートで川を約1時間さかのぼると、見渡す限り黒く焦げた大地が広がっていた。切り株のまま炭化した木々が墓標のように立つ。その中で植えられて間もないアブラヤシの苗木が風にそよいでいた。
「ここのような泥炭層は多量の炭素を蓄えている。それが、伐採による破壊で大気中に放出されてしまった」。森林保護活動を続ける地元NGO(非政府組織)のウィディさんは話す。
国際湿地保全連合の昨年の報告書によると、植物が湿地などに堆積(たいせき)してできた泥炭層には、地球全体で二酸化炭素2兆トン分の炭素が蓄えられている。インドネシアでは森林伐採による泥炭層破壊で年間約20億トンの温室効果ガスが放出される。同国の排出量は化石燃料使用量だけなら世界20
位前後だが、泥炭層からの放出分も含めれば米国と中国に次いで3位となる。
その3、ついに海が二酸化炭素を吸収しなくなった。
2007年10月20日 BBCニュースより:海洋の二酸化炭素吸収が減少している。
科学者によると、世界の海洋が吸収している二酸化炭素の量が減少してきている。イーストアングリア大学の研究者たちは、自動測定装置を装備した商船からの9万を超える測定結果から、二酸化炭素吸収量を計測した。北大西洋におけるこの10年間にわたる研究結果によると、二酸化炭素の吸収は、90年代半ばと、2000年~2005年のあいだに、半分になっていた。科学者たちは、海洋の温室効果ガスの吸収が減れば、地球温暖化はさらに悪化する可能性があると考えている。
この研究結果は、「ジオフィジカル・リサーチ・ジャーナル」の論文として発表されたもの。この変化が気候変動のせいなのか、自然な変動のせいなのか、科学者たちにはわかっていないが、科学者たちは、「今回わかったことは驚くべきことであり、憂慮すべきことである」と言っている。なぜならこれは、「そのうち海洋は、われわれ人間の排出によって飽和してしまう」と考えざるを得ない根拠を突きつけているからだ。海洋がそれ以上吸収することができなくなると、われわれ人間の排出はすべて大気を暖めることになってしまう。
プロフィール
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和など、さまざまなNGO活動に関わる。
現在未来バンク事業組合 理事長、JVC理事、ap bank監事などを務める。
現在、立教大学大学院ほかの非常勤講師。著書に『世界の貧しさをなくす30の方法(合同出版)』『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた(岩波書店)』『地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか』(扶桑社新書)他多数。