1.自動車時代の終焉
昨年(2008年)は、アメリカのビッグ3の経営危機をはじめ、世界トップのトヨタでさえもあっという間に業績赤字に転落しました。このことは象徴的な出来事であり、限りある地下資源を大量に消費して作られてきた自動車の歴史の限界、ひいては現在文明そのものが限界を迎えていることを示しています。日本も今年を新たな出発点として、世界が求めている、50年先、100年先を見据えた持続可能なくにづくりに向けて一歩を踏み出す必要があります。2009年は、私たちの世代の欲望をむき出しにするのではなく、子どもたちや将来の人々のことを考えて、自然と共存する美しいくにづくりを始める歴史的な年にしたいものです。
2.トキの野生復帰スタート
いよいよ、中国産のトキが日本の大空に舞うことになりました。日本の生態系の中に外国産とはいえ、トキを取り戻す意義は大きい。しかし、放鳥場所が佐渡島(新潟県)とは理解に苦しむ。佐渡島にトキの好む湿地は多くはないし、雪の降る冬を無事に越すことができるか心配。これからの放鳥場所は、関東平野がいいのではないか。昔は関東地方にも、多くのトキが生息していたのだから。
3.オオソリハシシギ、北極から南極までを飛行
オオソリハシシギは、越冬のために「渡り」をする、こぶし2つ程度の大きさの野鳥です。そのオオソリハシシギがアラスカからニュージーランドまで約1万1,000kmの距離を無着陸で横断していることが、人工衛星を使った調査で明らかになりました。あの小さな体で9日間、水も飲まずエサも食べず、夜も昼も休まずにはばたき続けたのです。とても人間にはできることではありません。自然のすごさをまた思い知らされました。
池 谷 奉 文(いけや・ほうぶん)
プロフィール 1942年(昭和17年)2月8日生まれ
静岡県出身
趣味:野の鳥・読書・カメラ
1978年埼玉県で環境団体を立ち上げ会長に就任。その後、美しいくにづくり、まちづくりのシンクタンク、財団法人日本生態系協会を設立。国内外での情報収集、講演などで世界中を飛び回っている。
財団法人埼玉県生態系保護協会会長
社団法人日本ナショナル・トラスト協会副会長
国土審議会特別委員
農林水産環境政策アドバイザリー会議委員
自然再生専門家会議委員
社会資本整備審議会公園緑地小委員会専門委員
参議院予算委員会公聴会公述人
衆議院環境委員会参考人
参議院環境委員会参考人
参議院農林水産委員会公聴会公述人
&河川水辺の国勢調査アドバイザー
埼玉県環境審議会委員
鳥取県公共工事における生物生息空間整備検討委員会委員長
獣医師
ほ か
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