川島悟一(かわしま ごいち)
若手専門家による地球温暖化対策審議会座長
■天然資源の持続的利用へ――UNEPが国際パネル設立
IPCCが温暖化に関する科学的評価を政策決定者、意志決定者に与え、それを元に温暖化対策が進展した。
一方、地球規模の持続不可能性という問題は、地球温暖化だけではない。生態系生産能力の喪失と地下資源の枯渇である。この2つの資源について、UNEPが科学的評価機関を創設することは、
持続可能な社会をつくるために絶対に必要なことである。
■参院選で争点にならず
参院選で温暖化対策が争点にはならなかった点は、日本の政治の時代遅れを露呈した。本来なら10年以上前に年金問題も政治とカネ問題も解決していなければいけないが、日本の問題解決能力の低さによって、それらの重大な問題が現在まで引き伸ばされて、今重要な温暖化対策が議論されていないことは環境問題というより日本の政治問題である。
日経新聞と朝日新聞でも温暖化を選挙の争点とすべき点が記事になった。
■若手専門家による地球温暖化対策審議会の発足
地球規模での低炭素社会形成にむけたロードマップと日本の役割について、議論する自主的審議会が発足した。
委員は、国立環境研究所の江守氏ほか専門家9人。第1回会議では、今後の審議の進め方や低炭素社会ロードマップについて議論した。
※その他
■IPCC第4次評価報告書
現状の温暖化が人間起因であることを断定したことによって、懐疑派も温暖化を否定できなくなり、国際交渉も前に進み始めた。温暖化対策がまったなしであることも一般的な認識となった。
■美しい星50
ハイリゲンダム・サミットにも一定の影響力を与え、国際社会において「2050年までに半減」を共有させた。この件は、塩崎官房長官のリーダーシップが光った。国際交渉での内容は、4大臣会合で決めることになっているが、町田大臣は積極的ではないために、来年の洞爺湖サミットでは、各国の調整だけに終わるだろう。
■予算委員会の質問
福山議員が質問し、福田総理を引き出した。結局この発言は間違いと政府側から訂正されてしまった。しかし、民主党内で体勢をとれずに諦めてしまった。
■環境税に4割が賛成
環境税に対する理解は深まってきたものの、まだまだ4割の賛成。そもそも日本人は、「環境対策は意識の問題」と言って制度で温暖化を止めることもできることを知らないのが問題。
■財務省財政制度等審議会にて国内対策の必要性
政制度等審議会にて、京都議定書目標達成のために最大1兆2000億円かかるとして、国内対策の必要性を示唆した。
■東京都温暖化対策
ソーラー100万kWのプロジェクトをはじめ、排出量取引構想まである。動かない国に対して、首都政府として積極的な取組は注目。
■US-CAP
米国は、年金などの中長期ファンドも株式に流れるため、そうした機関投資家が中長期リスクとして、温暖化対策を企業に求めている。米国という自由資本主義ならではの社会を良くする力である。
一方、日本は政治でも経済でも社会を良くする大きな力が働かない。
■21世紀環境立国戦略会議
「気候の危機」「生態系の危機」「資源の浪費による危機」が地球規模で人類の文化的社会に甚大な影響を及ぼす危機として認識されたことは、考え方としてわかりやすく良い。
プロフィール
持続可能な社会を創ることをライフワークとし、元エコ・リーグ代表理事やCarbon to Forestsの創設など様々な環境活動に関わる。
荏原製作所で廃棄物・エネルギーのマーケティング業務、博報堂でチーム・マイナス6%運営事務局ディレクターを経て、現在「持続可能な発展」についての理解を広げる活動を展開中。静岡県出身。
▼若手専門家による地球温暖化対策審議会
(http://wakateshin.exblog.jp/7612170/)」
▼Carbon to Forests
(http://www.ctf.jp/)
▼京都の約束プロジェクト
(http://kyoto-yakusoku.jp/)