1)自由民主党・民主党が共に有価証券報告書で気候変動リスク の開示を政策提言
有価証券報告書とは金融商品取引法に基づいて上場企業が作成する投資家向けの制度。開示書類ですが、この中で気候変動リスクや温室効果ガス排出量について記載を求める。という政策を、与野党が共に提言しました。一見小さな出来事ですが、企業が自主的に作成するCSR報告書ではなく、上場企業が法律で義務付けられる有価証券報告書での開示、という点が重要です。金融資本市場の中に環境や社会への配慮を組み込んでいく第一歩になることを願っています。
2)東京都が46年前の道路建設計画を強行
東京都の府中市、国分寺市を通って、小平市にまで、都道338号線を建設する計画が動き出しました。この計画は46年前に策定されたもので、小平市での道路予定地は樹木の生い茂る市民の憩いの場。ここに幅30メートル以上の巨大な道路を建設しようというのだから驚きます。46年間、なくても誰も困らなかった道路計画を、今さら強行するということで、市民からの疑問の声が毎日新聞やNHKでも取り上げられています。東京都と言えば、温暖化防止では率先して先進的な取り組みを進めている「環境派」と思われていただけに、部署が違うと180度逆行する政策をとってしまうという縦割りの行政の弊害の典型例として、その行方が注目されます。
3)EUが生態系破壊に関する研究報告を公表
EUが研究報告「The Economics of Ecosystems and Biodiversity」を公表しました。日本では、まだ地球温暖化と気候変動問題の方に多くの関心が集まっていますが、ヨーロッパではその先の問題として、生態系と生物多様性が注目を集めつつあるわけです。非常に重要な論点であり、日本でももっともっと注目が高まってほしいと思います。
水口剛(みずぐち・たけし)
最近の著書は、『環境経営・会計』(有斐閣、共著)、『ここからはじめるNPO会計・税務』(ぎょうせい、共著)など。
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