1.中央の環境保護省の昇格と地方でも追随の動き
2008年3月の全人代の行政改革で、国家環境保護総局が環境保護省に昇格し、国務院(内閣)の正式メンバーとなった。これにより中国のマクロ政策に対する環境部門の影響力が強まることが予想される。さらに黒龍江省、吉林省、雲南省、陝西省の地方政府でも、環境保護局が環境保護庁に相次いで昇格するなど、環境部門の影響力向上は地方にも進んできた。
2.グリーン五輪で北京周辺の環境対策が進む
北京市やその周辺省市では、北京五輪にあわせて多くの環境対策を進めた。その内容は、汚水・ゴミ処理場の建設整備、省エネ・節水技術を導入した五輪会場設備、植林緑化、風力発電建設など幅広いが、その中でも大気汚染対策として、周辺工場の一斉停止や偶数・奇数による自動車走行規制、人工降雨、市外からの導水などは大きな話題となった。実際に北京の空気は五輪期間中、大幅に改善し、終了後は多少悪化したが、五輪以前よりは改善している。
3.ビニール袋の有料化でライフスタイル見直しのきっかけに
ビニール袋やプラ製使い捨て弁当箱などが捨てられる「白色汚染」対策と資源の節約を目的として、中国政府は買い物用ビニール袋を全国一斉に有料化した。一般庶民の中で最も身近で大きな話題になった2008年の環境ニュースといえる。一部で戸惑いも見られたが、これによりエコバッグが普及するなど、ライフスタイルを見直すきっかけになった。
大野木昇司(おおのぎ・しょうじ)
日中環境協力支援センター有限会社 取締役社長
URL:www.jcesc.com
昭和47年生。平成7年、京都大学工学部衛生工学科卒業。10年、京都大学大学院エネルギー科学研究科修士課程修了、同年中国留学開始。14年、北京大学環境学院修士課程修了。天津日中大学院専任講師、国土環境㈱北京事務所技術渉外主任、(社)海外環境協力センター客員研究員を歴任した後、17年に日中環境協力支援センター㈲を設立し、取締役社長に就任。平成20年からは桜美林大学・北東アジア総合研究所の客員研究員や科学技術振興機構・中国総合研究センターの社会科学系ステアリングコミッティ委員を兼任
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