小田理一郎(おだ りいちろう)
有限会社チェンジ・エージェント代表取締役兼CEO
環境NGOジャパン・フォー・サステナビリティ ゼネラル・マネジャー
1.アル・ゴア氏およびIPCCのノーベル平和賞受賞
1月に日本語版を発刊した『不都合な真実』がベストセラーとなり、欧米を皮切りに日本でも温暖化問題への関心を高める火付け役になりました。
2月には、温暖化は人間の活動によって引き起こされることを確認したレポートがIPCCから出され、科学的にも温暖化問題の進行と深刻さを裏づけされました。
そこにいたる長期にわたる活動は世界的にも評価されてノーベル平和賞受賞にいたりました。年間通じて、温暖化問題への関心が飛躍的に高まった1年です。
2.12月バリ会議で日本への痛烈な批判集中
京都議定書以降の世界の温暖化対策の枠組みを決めるバリ会議で、環境NGOの評価でもっとも足をひっぱているワースト国を表彰する「化石賞」の1位から3位を日本が独占しました。
ポスト京都議定書の枠組みで削減目標を明らかにしていない、京都議定書を深めて広げるべきなのに逆に葬ろうとしている、途上国への技術移転に消極的、というのが受賞理由です。(3位はアメリカ、カナダとともに受賞)
先進的な企業、自治体、心ある市民は関心を高めて活動に取り組んでいるのに、政府と一部の産業界は日本の評判を下げるお荷物になっています。
3.原油価格が100ドルに迫る
原油の年間平均価格はこの10年で6倍以上になっています。サブプライム問題や、余剰の投機マネーの流入などを原因とする声も多いが、ピークオイルなど資源の生産性低下による供給量低下、余剰生産能力の減少、地政学的リスクの高い地域での供給への依存などの長期的な構造問題も見逃せません。
エネルギーのほとんどを海外の原油・天然ガス・石炭・ウランに依存する日本は、先進国家の中でもきわめて脆弱な存在であり、見た目の価格の安さに左右されることなく、エネルギーや食料の海外依存度を下げるのは国家の生き残りにかかわる経済の火急の経済課題です。
プロフィール
企業の社会的使命の追求と非営利組織マネジメントの強化のためのコンサルティング経験を活かし、変化のマネジメントのための開発、研修、コンサルティング、ファシリテーション、講演、執筆を行っている。共著書に『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』(東洋経済新報社、2007年)。
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